会計士による在米日系企業のバックオフィス支援 | お役立ち情報誌 >>

お問い合わせ

ご相談の流れ

ご相談事例

アメリカで起業・法人設立時の会社名はどう決める?DBAとは?米国公認会計士が解説

1. アメリカ進出の進め方
監修者

米国の会計事務所にて、個人事業主から上場企業までアメリカ進出企業のバックオフィス業務を幅広く支援。会計・税務を軸に、SaaS・AIを活用した業務効率化・業務設計を得意とする。
米国公認会計士 / 米国税理士 (Enrolled Agent)

「アメリカで会社を設立する場合、会社名はどのように決めるべきなのか」
「Inc.やCorp.、Ltd.の違いは何か。LLCの場合はどうなるのか」
「DBAとは?いつ必要になるのか」

こうした疑問を持つ方に向けて、本記事ではアメリカで法人を設立する際の会社名選びの注意点や社名のルール、そして実務でよく耳にするDBA(Doing Business As)について整理し、わかりやすく解説していく。

1. アメリカで会社名に必要な表記は?

アメリカで株式会社を設立する場合、多くの州法では会社名の末尾に「Corporation」「Incorporated」「Company」「Limited」、もしくはその短縮系「Corp.」「Inc.」「Co.」「Ltd.」のいずれかを含めることが求められている。なお、日本のように会社名の前に「Corp.」等を持ってくること(いわゆる「前株」)は一般的ではない(そもそも「前株」という概念が無い)。

2. 「Corp.」「Inc.」「Co.」「Ltd.」の違いは何か?

結論として、アメリカ法人であれば「Inc.」または「Corp.」を付けるのが実務上もっとも無難であると言える。以下、それぞれについて詳しく解説していく。

2.1. 「Corporation(Corp.)」「Incorporated(Inc.)」とは?

実務上、「Corporation(Corp.)」と「Incorporated(Inc.)」はほぼ同義であり、日本の「株式会社」に近い。どちらも法人格を有する会社であることを示しているが、アメリカでは「Inc.」が最も一般的である

2.2. 「Company(Co.)」とは?

「Company(Co.)」は単体で使用されることは少ない。なぜなら、これ単体では単なる事業形態を指すもので、「Corp.」「Inc.」のような株式会社的な意味合いを持たないためである(日本語では「会社」と訳すとわかりやすいかもしれない)。つまりこの言葉だけでは、「この会社は株式会社なのか、彼らの責任は有限/無限なのか」等の情報が判別できないということになる。それゆえに多くの州では「Co.」を使う場合も「Inc.」「Ltd.」などを併記し、例えば「Co., Ltd.」として「株式会社」であることを明示するのが一般的である。なお、「Co.,Ltd.」表記は日本企業が英語名での株式会社を表す際によく使用するものの1つである(例:NINTENDO CO., LTD. / ASAHI SOFT DRINKS CO., LTD.など)。

2.3. 「Limited(Ltd.)」とは?

「Limited(Ltd.)」も「Corp.」や「Inc.」と同様に株式会社を意味するが、「株主の責任が有限である」ことが明示される点に違いがある。とはいえ本質的には同じ意味であり、アメリカでは「Inc.」が一般的であるため、あえて「Ltd.」を用いる会社は多くはない。

(番外編)LLC(Limited Liability Company)の名称ルール

ここまで株式会社(C Corporation / S Corporationなど)の設立を前提に解説してきたが、LLCも日系企業が検討する主要なビジネス形態のひとつである。「LLC(Limited Liability Company)」は日本の「合同会社」に近く、フリーランスやスモールビジネスなどの小規模ビジネスにおいて一般的に用いられる。LLCの場合、会社名に「Limited Liability Company」「LLC」「L.L.C.」のいずれかを含める必要があるため、注意したい。なお、実務では「LLC」を選択するのが最も一般的となっている。

3. 会社名選びで注意するべき2つのこと

3.1. 既存の会社名と類似する商号は使用できない

新たに会社名を登録する際、同じ州内で既に登録されている名称と「識別可能であること」が求められる。この判断基準は州の当局によって異なるが、例えば「ABC Inc.」と「ABC Corporation」のように語尾だけが異なる場合、州によっては登録できない可能性が出てくる。そのため、会社名の候補を州のデータベースで事前確認し、すでに似たような会社名が登録されていないかどうかをチェックすると良い

3.2. 使用できないワードに注意

多くの州では、「Bank」「Bank and Trust」「Insurance」「University」のような特定の規制業種を示すワードを原則的に使用できないため、注意が必要である。これらを使用する場合は、別途ライセンスや州当局の承認が必要になってくる。

4. DBA(Doing Business As)とは?

「DBA(Doing Business As)」とは日本でいうところの会社の「通称」である(DBAの正式名称は「Fictitious Names」「Fictitious Business Names」)。例えば、正式名称が「BRIDGE HUB Inc.」であっても、「BRIDGE HUB」という通称(ブランド名)で営業を行いたい場合、この「DBA」の登録が必要になってくる。なおDBAを使用するには、正式名称の登録とは別にDBAの申請が求められる

5. (参考)日本企業がアメリカに「支店登記」する場合

飲食店やアパレルなどの日本法人が米国進出する際、「支店(Branch)」を設立して現地でのビジネスを開始する場合がある。また、日本の法人が日本から米国不動産へ不動産投資を行う場合にも、「支店(Branch)」を設立するケースがある。このようなケースにおいて、州に登録する会社名には注意が必要である。日本語法人名をそのまま英訳しても、州内で既に同一・類似の会社名が登録されていれば、その社名は使用できない。そのため、会社名の候補を州のデータベースで事前確認し、すでに似たような会社名が登録されていないかどうかをチェックすると良い

6. まとめ

本記事では、アメリカで法人を設立する際の社名ルールや「Inc.」「Corp.」「Ltd.」といった表記の違い、さらにDBA(Doing Business As)について整理し、それぞれの意味や実務上の注意点を比較しながら解説してきた。本記事の内容が、アメリカでの会社設立を検討されている方にとって参考になれば幸いである。

この記事は役に立ちましたか?
参考になったら「いいねボタン」で教えてください
米国公認会計士・米国税理士(Enrolled Agent)

出身:愛知県 所属会計事務所:日系会計事務所(ニューヨーク・ロサンゼルスにオフィスがございます) 私は、皆様にとって身近に相談できる会計士でありたいと願い、日々業務に取り組んでいます。アメリカでの起業やビジネスの運営には、日本では聞き慣れない専門用語も多く、特に会計士や税理士の行う業務は皆様にとってブラックボックスになりやすい分野かと思います。 ご相談をお受けする際には、できるだけ難解な専門用語を使わず、全体像をイメージしながら次のアクションが明確になるような説明を心がけています。皆様の不安や負担を少しでも軽くし、本業に安心して集中していただける体制整備に少しでも貢献できればと考えています。 会計士や税理士に相談するのは少しハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方には、まずはこのサイトをご覧いただき、私共やその仕事内容を少しでも身近に感じていただければ嬉しく思います。

あなたへのおすすめ記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

コメントを残す

CAPTCHA


お問い合わせ ご相談の流れ ご相談事例
目次